~御鎮座二千年の越中一宮~
高瀬神社は心の拠り所として 人々の幸せを一途に見守ってきました

第18回 座談会 秀直翁を囲んで

  • ◇出席者◇(順不同)
  • 高瀬神社宮司 : 藤井 秀直
  • 雄神神社責任役員 : 小谷太平次
  • 高瀬神社責任役員 : 岩倉 節郎
  • 藤井組代表取締役会長 : 藤井橘太郎
  • 山見八幡宮宮司 : 山森 正人
  • 高瀬神社禰宜 : 藤井 秀弘

岩倉
きょうは藤井宮司さんの九十年にわたる長い人生を浮き彫りにするような話をお聞かせいただきたいということでお寄り願ったわけですが、私が一応の進行役を仰せつかりましたのでよろしくお願いいたします。 まず、なんといっても雄神神社で生まれ、育たれた宮司さんですので、若いときから雄神神社の総代などでお世話していただいている小谷さんから・・・・・・。

小谷
私は役場を辞めてから二十年余り、お世話をさせていただいているわけですが、ざっくばらんに申しますと、宮司さんは歳を取るにつれてだんだん人の道をよく理解していかれたと申しますか、俗にいう大器晩成型の人だという見方をしています。 母親が何回も替わっておられる家庭にお育ちになったわけですが、そういう場合、下手をすると人間というのは曲がってしまうんですが、宮司さんに限っては非常に良いところだけを学んで歩んでこられたと思っています。

最近、宮司さんのお話を伺って若い人が感動するということをちょいちょい聞きまして地元にいながらさほどにも思っていなかったけれども、どうしてそういう話ができるものかと振り返ってみると、母親が替わっても心が動かずにこられた・・・・そこに人間性というものを作ってこられたんではないかと思われるんです。 地元ばかりでなく、ほかの土地の若い者も年寄りも、「宮司さんには生きた話を聞かせてもらえる。 すぐぴんときて、それがいつまでも頭に残っている。 こういう立派な人にはめったに出会えるものではない」と話しているんです。

岩倉
おっしゃるとおり、宮司さんには古いことも新しいことも、老人にも若い人にも通ずるようないろんな話を聞かせていただいています。 五、六年前にお邪魔したときに、「大法輪」という仏教の雑誌を読んでいらっしゃるので「宮司さんは神道なのにこんな仏教の本を読んでおられるのですか」と聞いたら「宗教家というものは他宗の勉強もしておかないといけない。 神道だから仏教のことは知らないというのでは駄目だ」と言われました。 こういうふうに、常日ごろ努力していらっしゃることが講演をしてでも生きてくるんだなあと感じたことがあるんです。

ところで、藤井さんはかなり古い分家だと伺っているし、高瀬から利賀の山へ藤井家の先祖が移動されたときに連れ立って行かれたということも聞いているわけですが・・・・・・。

藤井(橘)
私は利賀村の栗当の人間で、藤井宮司さんの氏子です。 宮司さんは私らの子供の頃から、茣蓙(ござ)を着て、笠を被って、白足袋にわらじ履きでお宮さんのお祭りに必ず来ていただいておりました。 そういうことから宮司さんを大変信頼申し上げております。

私の曾祖父が九十四歳まで生きておりまして、昔、先祖が高瀬から山へ入ったということを開かされていました。 例の一向一揆のときでしょうか、上杉謙信一行が越後を回って八乙女山後方から瑞泉寺を攻めるため庄川を渡ろうと思ったが、大雨による増水でなかなか渡れない。 昔の道路は湯谷から二ツ屋へ上がって、そこから栗当へ通じていました。 今の道路の八十メートルほど上ですが、私の家に十日ほど泊まって水量の減るのを待っていたけれども、どうしても減らないので山田村へ出て富山へ行ったんだと、よく話していました。 私の家にもかなり古い系図が井波の光教寺にあったのですが、大火で焼けてしまいました。 ともかく、一向一揆の頃に先祖も山へ上がったのではないかと思っています。 私の旧屋敷の上の方に土葬の墓があり、それが先祖の墓であるとも、謙信一族の者の墓とも開いています。

私の会社では毎年一月五日に主だった三十人ほどの社員が高瀬神社にお参りし、宮司さんからも大変丁重に扱っていただいておりますが、神社には私が兵隊に行く前はお父さんの秀一宮司さんの銅像が建っていたのに、帰って来たらなくなっていたので聞いてみると国に献納されたということでびっくりしました。 その後も銅像のように後に残るものを建てたらどうかと思っておりまして、今の宮司さんにも二、三年前にお話ししたことがあるんですが、お父さんの銅像に鳥が糞をして掃除が大変だったのであまり好まないと言っておられたんです。 今度、小谷さんから話を掛けていただいたときに、ずっとそういうことを考えていたのでぜひお願いしますということになり、町長にもお話ししたところ大変乗り気になっていただき、よかったと思っています。

つづく

次回は座談会第2回「高瀬と藤井家」を掲載します。
ご期待ください。

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